日本では2010年に公開され、アカデミー賞も受賞したドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』。和歌山県太地(たいじ)町で古くから行われているイルカ漁を批判する内容の映画でした。
地元の住民の方々からは「真実とは違う」といった意見もあった中、映画の影響で太地町には多くの外国人が訪れるようになりました。
今回の映画「ビハインド・ザ・コーヴ〜捕鯨問題の謎に迫る〜」は、監督が捕鯨問題を紐解くため個人的に始めた調査が、必然的に『ザ・コーヴ』の舞台となった太地町へとつながり、その結果、反証映画として生まれることになりました。
◆映画リーフレット 表
◆映画リーフレット 裏
『ビハインド・ザ・コーヴ』は、捕鯨論争における賛成・反対両派へのインタビューを基軸に、太地町の問題だけでなく、これまで民間まで浸透していなかった政治的側面の実情にも迫っています。
■予告編動画
スポンサーなし、映画製作経験なし、カメラ技術なし
監督の八木景子氏は元パラマウントの東京支社社員。幼少の頃から親しんでいた鯨料理が食卓から消えるかもしれないという不安に加え、日本を取り巻く捕鯨問題の扱われ方に疑問を持ち独自に調査を開始。やがて『ザ・コーヴ』の舞台となった和歌山県太地町に辿り着きます。
取材が一段落し帰京しようとした矢先、地元の人から「もうすぐシーシェパードが来るよ」という話を聞き、そのまま長期滞在。貯金を切り崩しながら4カ月取材を続け、高齢の元捕鯨師や町長を含む現地の人々のインタビューを撮影。
『ザ・コーヴ』の関係者にも取材
『ザ・コーヴ』の監督ルイ・シホヨスや、主演であるリック・オバリにも取材を行い、双方の主張をカメラに収めます。また毎年イルカ漁の時期(9月)に太地でキャンプしている反捕鯨活動家たちからも話を聞き、さまざまな立場からこの問題に関係する人々を追っています。
そして作品化へ
これまで日本側がシーシェパードや一部海外メディアの「カメラ」という武器に一方的に蹂躙されてきたことを知った彼女は、数々の困難を乗り越え自ら映像で返す決意で制作に臨みます。
その結果、現地の声だけでなく国際捕鯨委員会の元・現日本政府代表や科学者、調査員などを含む国内外の捕鯨専門家へのインタビューも撮影することに成功。その取材はアメリカ・ワシントンD.C.にまで及びました。
トークショーにも参加
チケットを買った際、上映後のトークショーも希望したので、映画終了後に下の階のシアターセブンに移動。その際、やたらと人を押しのけて進む髪の短い気の強そうなおばちゃんに遭遇しました。(※後述)
立ち見も出る大盛況の中でトークショーがスタート。
監督の経歴や取材に至った経緯などを説明してくれました。
質疑応答では鯨を食べる文化やシーシェパードについての質問(半分は感想や主張)がなされる。
結構な人が手を挙げる中で、先程のおばちゃんも挙手。
どんな質問するんだと思っていたら太地町の関係者らしく、「太地の風」っていう歌が良い歌だから聴いてくれっていう話。質問もなし。
ここは宣伝する場じゃねえよ。
まあその熱意だけは認めるということでYouTubeのリンク貼っておきますわ。私は聴きませんけど。
そういえば劇中で『ザ・コーヴ』の監督ルイ・シホヨスは菜食主義者だと主張していましたが、先日Gigazineに掲載された記事によると、肉食用の家畜がいなくなって生まれる土地は自然状態に戻るのではなく、多くが農耕に使われるだろうとのことです。